法人後見2014年09月21日 14:29

立法過程からみた法人後見の制度趣旨
横浜国大大学院 西森利樹

西森論文からの引用です。
日本社会福祉士会は、(a)(b)の見解に立っています。
私は、経験から公後見の必要性を感じていますので、特に(e)(f)の見解を支持します。
一方で、佐賀県社会福祉士会が突出して法人後見に取り組んでいるのに関心を持ちます。
http://www.jacsw.or.jp/12_seinenkoken/juninjokyo/1402.html
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 成年後見制度において法人後見が明文で許容された後においても、法人後見の意義、役割や活用のあり方(以下、「法人後見の役割等」とする)の理解の仕方は論者により差異がある。各見解は、法人後見の役割等を限定的に捉える見解と限定的に捉えない見解に大別しうる。 限定的に捉える見解は、主に、成年後見人が個人の場合と法人の場合とを対比する。まず、(a)法人後見は本来望ましいものではなく、後見は個人的になされるべきであり、法人後見は個人の後見人が確保出来ない場合にやむを得ず法人に委託する趣旨とすべきとの見解がある。次に、( b ) 成年後見人は個人としてその人の生活に寄り添い、「個」が「個」として成年被後見人等が望む生活を支え権利を擁護する人であり、個人後見が基本的スタイルであるべきで あって、法人が扱う事例は例外的な事例とする見解がある。ただし、(c)成年後見人は個人が原則であると解しつつも、受任依頼の急増や家庭裁判所の法人後見の積極容認・推奨、困難事例の急増などから、法人後見を積極的に運用する考え方に変わりつつあるとの見解もある。また、(d)法人後見の役割等の捉え方は定かではないものの、法人が受任する場合として、成年後見が長期になることが予想される場合、多数の財産が分散している場合、関係者の対立が激しく個人では対応できない場合、低所得者に対し専ら福祉的観点から後見を必要とする場合を挙げるものがある。
 これに対し、限定的に捉えない見解には、(e)大陸法上の国家後見又は英米 法上の公後見人制度のような公的支援体制が不備なわが国では、法人後見は不可欠であり、親族外の第三者後見人の中核的な役割を果たすとする見解がある。また、(f)法人後見の活動状況を成年後見の「社会化」の重要なバロメーターとする見解がある。次に、(g)知的障害者の長い一生を支えるには、公共性に裏づけられた安心できる基盤を持つ法人による成年後見が求められて いるとの見解がある。また、 (h)法人後見のメリットからすれば、従来の「個人後見が後見の基本スタイル」とのスキームから脱却し、個人・法人の両メ ニューの設定及び多様な法人類型の保有により、高齢者・障害者の多様なニーズに対し適切な権利擁護の実現が図れるとの見解がある。 さらに 、( i ) 東日本大震災を受け、被災地で成年後見人を確保する手段として、社会福祉協議会等を受任者とする法人後見を活用することが求められるとするものがある。
 成年後見人は、利用及び成年被後見人の支援に必要不可欠であり、誰が成年後見人になるのかは実際の支援のあり方にも影響を及ぼす。そのため、各見解は、結論及び根拠は異なるものの、いずれも適切な成年後見人の確保と支援の適正さを図り、制度の実効性を確保しようとするものであろう。また、法人後見の役割等に関する見解は、成年後見人を個人が原則であると捉え、法人後見の役割等を限定的に捉える見解を嚆矢とし、限定的に捉えながらも法人後見を積極的に活用しようとする見解が主張され、さらに、成年後見の社会化や 法人後見のメリット等から、法人後見の役割を限定的に捉えず、より積極的に捉える見解が主張される方向で展開してきたといえよう。 上記のように、法人後見の役割等の捉え方に関し、諸処の見解がある。また、 成年後見人の受任状況からすれば、法人後見の活用はいまだ十分ではない。で は、そもそも、なぜ法人後見は制度化されたのであろうか。現行法は、成年後見人選任の際に、家庭裁判所は利害関係等を考慮すべきことを規定するのみである(民 843 条 4 項)。また、立法担当者は、法人後見の明文化の理由として、 高齢者等の多様なニーズへの対応及び後見等の態勢に関する選択肢の拡大による後見体制の拡充を挙げている。そのため、法人後見の役割等は、条文及び立法担当者解説からは必ずしも定かではない。そこで、本稿は、法人後見の役割等を考えるにあたり、立法時の議論における法人後見の制度趣旨を検討する。

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